バカポー隔離部屋
※このページはバカポー系の短編・ネタを集めています。




『バカポーネタ第二弾』


僕たちは今、トロデーン城で暮らしている。幼い日にともに暮らしたように、いや、それ以上に幸せな日々を送っている。
そんなある日、僕たちの元へ不思議な珠が届いた。ゼシカの字で『光に透かして覗いてね』とある。
「何かしら?初めて見るわ」
ミーティアも怪訝そうだ。
「二人で見てみようか?」
「ええ」
そんな会話を交わして光に珠をかざした。

            ※            ※            ※

『兄貴〜』
『エイト』
『ミーティア姫様』
不思議な珠の中から仲間たちが手を振る。あまりにびっくりして珠を落としそうになりながら、隣のミーティアと顔を見合わせ、再び覗き込んだ。
『今、私たちいただきストリートっていうゲームをしているのよ』
『サヴェッラでおまえたちを見送っていたら変なオッサンに声かけられてさ。いや、新手のナンパかとどっきりしたね』
『そしたらいろんな人が集まってゲームするから参加しないか、ってことだったから、出てみることにしたのよ』
『本当は兄貴の側にいたかったでがすよ。でも人の恋路を邪魔するなってことで、こっちでお宝ゲットするでがす』
『これ、すごく不思議でしょ。一緒にゲームしている女の子三人組からもらったの。スフィアって言うんだって』
スフィアね。何だか変な物だと思ったらどこか別の世界の物だとは。スフィアの中でヤンガスがしゃべっている。
『馬ひ…ミーティア姫様とはうまくやってるでがすか?あっしは一人寂しくゲームしているでがすよ』
ゼシカとククールが同時に『ゲルダさんは?』と言うのが聞こえた。隣でくすりと笑う気配がした。
『うっ、うるさいでげす!…兄貴にいっぱいお宝を持って帰るでがすから、楽しみにしてるでがすよ』
「ふふ、楽しみだわ」とミーティアが呟く。
「うん、そうだね」と僕が答え、二人で微笑み交わす。
『まあおまえたちがよろしくやっている間、オレたちもこっちで楽しんでいるってことだ。こっちも中々だぜ。きれいな姫がたくさんいて目移りしてして困っ…!』
突然視界一杯に炎が広がった。と、次に何事もなかったかのようにゼシカの顔が現れた。
『ということだから、お土産楽しみにしていてね。えっ、ククール?さあ、何か用事を思い出したみたいよ』
そういうゼシカの後ろに焦げ焦げの赤い服が見えるんだけど。ミーティアも気付いたらしく、肩を震わせている。込み上げる笑いを抑えているようだ。
『それじゃあまたね!』
こちらに向かって手を振る二人の後ろで『メラミなんてひど過ぎる…』という声がして、ククールの手だけ見え、そして消えた。
「エイトも出てみたかった?」
ようやく笑いの収まったミーティアがちょっと拗ねたように問い掛ける。
「何?僕に出て欲しかったの?」
悪戯心からそう問い返すと、ミーティアは困ったように答えた。
「違うわ。…仲間と一緒に出てみたかったんじゃないかと思っただけなの」
「それって、ヤキモチ?」ますます意地悪な気持ちになってそういうと、彼女はぷいっとそっぽを向いた。
「…冗談だよ。僕たち一緒に暮らしてこんなに幸せじゃないか。今更僕一人でどこか行こうなんて思わないよ」
「…本当に?」
「本当に」
まだちょっと不安げなミーティアの頬に優しく唇を寄せた。そしてほんのり頬を染めた彼女に囁いた。
「楽しみに待っていようね」
「ええ、そうね」
まっすぐ見返すミーティアの眼は優しかった。


                                                (終)




2005.1.12 初出 2007.2.19 改定






『バカポーネタ第三弾』


僕たちは二人であの冒険の旅で歩いた道を旅している。昨夜も宿屋に泊まってさて出発、という時…
「ゆうべはお楽しみでしたね」
なっ、なんてことを言うんだこの宿屋の亭主は!でもミーティアはよく意味が掴めなかったのか怪訝な顔をした。が、次の瞬間ばばっと頬を染めた。
「なっ…!だって…あれはエイトが」
「何言ってるの?だってミーティアがあんまりかわいいからだよ」
「もう、エイトったら!」
ますます頬を紅く染めるミーティア。この顔がまたかわいいんだよね。
「ほら、その顔がかわいいよ。もっと拗ねて見せて」
「…エイトったら、もう、仕方のない人ね」
ミーティアが僕をぶつふりをした時、亭主が渋い顔でこう言った。
「…お客さん、店先でいちゃつくの止めてもらえませんかね」


                                                (終)




2005.1.13 初出






『バカポーネタ第四弾』


最近どうもツイていない。
サヴェッラであいつら二人を見送った後、オレたち三人は「いただきストリート」なる物に参加している。
ゲームは楽しいし、一緒に参加している姫たちはみな美人揃いで目移りするよ。まああんまりデレデレしていたらゼシカにメラミぶちかまされたけどな。
実は最近問題が…
エイトやミーティア姫様とは、一緒に参加している三人組のレディーたちからもらったスフィアでよくやりとりしているんだが、その内容が何とも…
何っつーか、ほとんど惚気話なんだよな。
この前のミーティア姫様からのスフィアなんて当てられっぱなしだった。
『ククールさん、お元気ですか?トロデーンは今、とてもいい季節ですのよ。
そうそう、ククールさんならお分かりになるかしら…最近エイトが意地悪なんですの。意地悪を言って、私が困った顔をすると「その顔が見たかった」なんて言うんですのよ。
何でそんなことをするのかしら…ひどいと思いません?ただ仲良くしていたいのに…』
…惚気話もほどほどにな。
つーか結婚して余裕出来たからって何だよその上級技は。ウブい奴だと思っていたんだがなあ。
おまけにエイトの奴こんなこと言ってよこしやがった。
『この前ミーティアと宿に泊まったら朝に「昨日はお楽しみでしたね」と言われてしまったよ。見てたのかな?』
…どう返事しろと。
もう勘弁してくれ、何でオレなんだ。もう二人の世界から出てくんな。


                                                (終)




2005.1.17 初出 2007.2.19 改定









トップへ  目次へ