Etude/番外編




「あっ、王様」
封印の間への扉の前に立つ兵士がトロデ王の姿を見とめて礼をとる。
「うむ、見張り御苦労。姫は部屋かの」
「はい、ピアノの練習をされるとかで…」
「おおそうかそうか、では聞かせてもらうとしようかの。姫のピアノを聞くのはひさしぶりじゃて」
「で、ですが先程エイト様が部屋に入っていかれまして…」
上機嫌なトロデ王とは反対に見張りの兵はしどろもどろだ。
「ならば一緒に聞くとしようぞ。後で茶を持ってきてもらおうか。三人でのんびり茶を飲むのもまたよかろう」
「で、で、ですが…」
「なんじゃ、言うてみい。なんぞまずいことでもあるのか」
「エイト様が部屋に入られてからピアノの音がしないのですが」
「!…あの バ カ 夫 婦 が!さっさと新婚旅行に送り出せと言ったであろうが」
「でもまだベルガラックのスイート押さえられないんです〜。せっかくの新婚旅行なのでと思っているのですが〜」
「そんなもんどうでもいいわい!あやつらならどこでも満足するぞい!
…今度昼間から部屋に籠りおったら問答無用で叩き出すぞ!」
「ひい〜王様〜お考え直しを〜」


                                             (終)




2005.4.5 初出









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